薬理学前期
.薬の作用部位は?
2. 薬物の生体内運命(薬物動態、吸収、分布、代謝、排泄)
3. 薬の生体内運命における内服あるいは静脈投射による違いは?p19
経口投与
•口→胃→小腸→門脈→肝臓→全身へ→血中
•内服は容易で安全性にすぐれている。
•薬物濃度の上昇が注射に比べて遅く、即効性は期待できない
静脈内注射
•静脈内に直接投与された薬剤は血液循環によりすみやかに全身にまわるため作用がすぐに発現する。
•いったん血管にはいった薬液は投与量、薬品名に間違いがあっても回収はむずかしい。そのため誤薬による危険性はきわめて高い。
4. 生物学的半減期(1/2)とは?p30 TDMとは?p32
•生物学的半減期(T1/2)=2hr
•TDM=therapeutic drug monitoring 薬物血中濃度モニタリング
5. 薬効に影響を及ぼす要因
①容量
②投与ルート:経口、静脈
③病的状態:肝機能↓
④個人差(遺伝的)→代謝能の違い
⑤薬物の併用→代謝酵素の拮抗 蛋白結合能
⑥食事による吸収の差(禁断症状があるか)
⑦連用による耐性•依存症 中枢神経作用薬 眠剤
⑧プラセボ効果
6. 臨床試験(治験)とは?その目的、対象、CGPとは?二重盲検試験法?プラセボ?
第1相試験(臨床薬理試験)
はじめてヒトに薬候補物質が与えられる試験で、通常、少数の健康な志願者についてヒトでの安全性、血中濃度ー作用関係を確認する
前期第2相試験(探索的試験)
候補物質が治療対象対象とする領域の患者(比較的少数)で、薬の有効性と容量範囲、安全性を検討する。
後期第2相試験
比較的多数の患者について、有効性と最適用量、用法を決めるために試験を行う。有効性を検討するのに、非活性物質であるプラセボ(偽薬)や、既存の標準治療薬を対照に置いた比較試験が行われる。
第3相試験(検証的試験)
この相では、治療上の利益を証明または確認することを主な目的として治療を行う。そのために目的とする適応および対象患者群において第2相で予測された治療薬の有効性、安全性についてデータをを検証する。用量ー反応関係をさらに詳しく探索したり、より広い対象患者や病態の異なるステージでの有効性、他剤との併用の効果についても検討する。長期投与による効果や安全性を検討し、医薬品の適切な使用法を確立するための情報を得る。データの信頼性を確保するために、被験者選択時のバイアスを最小とするための無作為化や、試験結果に偏りを生じさせる危険性を最小とする二重盲検試験を実施する。
第4相試験(治療的試験)
承認後に行われる試験で、治療の現場で使われながら、広く多くの患者に使用したときの有効性、安全性、薬物相互作用などを確かめていく。制度上決まっているのは
①承認されてから6年後に再びその有効性、安全性について再審査が行われる。
②また5年ごとにその時点での学問的発達に基づいて薬剤の再評価が行われる。
③市販後におこった副作用の報告が集められ、検討される。
GCP(Good Clinical Practice):医薬品の臨床試験の実施の基準
7. GLPとは?
GLP(Good Laboratory Practice):医薬品の安全性に関する非臨床試験(毒性(安全性)試験)の実施の基準
8. ヘルシンキ宣言とは、インフォームドコンセントとは?
①治療を行うには、適切な前臨床をもとにして、試験計画書が審査委員会で認められること
②治験では、医師が被験者(患者)に研究の目的、方法、予期される利益、おこるかもしれない偶発事故などの可能性について十分に説明し、そのうえで被験者の自由意思による治験参加の同意が得られること
③被験者がいつでも自由に治験参加をやめることができること、またそのことによって被験者がなんら不利益を被らないこと
④研究データなどについて、被験者のプライバシーは完全に守られる事
9. 自律神経:交感神経と副交感神経の伝達物質は?p139
交感神経:ノルアドレナリン
副交感神経:アセチルコリン
10.自律神経興奮による生体機能の変化
11.各器官に発現している交感神経受容体の種類p140
12.交感神経作用薬(ノルアドレナリン、アドレナリン、イソプレナリン、フェニレフリン、サルブタモール)
13.交感神経遮断薬(プラゾシン、プロプラノロール、メトプロロール)
14.副交感神経作用薬(アセチルコリン、カルバコール、フィゾスチグミン)
15.副交感神経遮断薬(アトロピン、スコポラミン)
16.強心配糖体(ジギタリス製剤、ジゴキシン、ジギトキシン)
17.狭心症治療薬(ニトログリセリン、硝酸イソソルビド)
18.抗不整脈薬(Naチャネル阻害薬キニジン、プロカイン、β遮断薬プロプラノロール、Caチャネル阻害薬ベラパミル、Kチャネル阻害薬アミオダロン)
19.抗高血圧薬(β1遮断薬、ACE阻害薬カプトプリル、Caチャネル阻害薬ニフェジピン、利尿薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬ロサルタン、α1遮断薬プラゾシン)
20.利尿薬(フロセミド、スピロノラクトン)
21.抗脂血症治療薬(HMGGoA還元酵素阻害薬 スタチン系 プラバスタチン)
22.血液凝固、線溶系に作用する薬物(ヘパリン、ワルファリン、G-CSF、エイリスロポエチン、その拮抗薬は?t-PA、アスピリン)
薬理学後期
1. オータコイドとは(ヒスタミン、セロトニン、プラスタグランジン、ロイトコリエン、サイトカイン)
オータコイド(Autacoid)とは、動物体内で産生され微量で生理・薬理作用を示す生理活性物質のうち、ホルモン(特定の器官で分泌され体液で輸送されて他の器官に作用する)および神経伝達物質(シナプスでの情報伝達に与る)以外のものの総称である。 オータコイドは、身体に異常が加わったとき、それに対処するように動員され、これが動員されること自体で新たな病態を生じることがある。 次のようなものが知られる:
ヒスタミン:損傷組織の肥満(マスト)細胞、血液中の好塩基球、血小板から放出される物質で、血管拡張、透過性亢進作用、気管支平滑筋収縮作用があり、アレルギー反応や炎症発現の介在物質。神経においては神経伝達物質として働く。
セロトニン5-HT
エイコサノイド:
{プロスタグランジンPG: 発痛物質、リン脂質から産生される。ブラジキニンがPLA2刺激してアラキドン酸を産生し、COX-2によりPGE2(発痛物質)産生される。これが知覚神経を刺激して痛みを生じる。
{ロイコトリエン:好塩基球、肥満細胞から分泌される血管透過性亢進、化学走化因子
{トロンボキサンA2:血小板から分泌される血小板凝集作用
アンジオテンシン
ブラジキニン:発痛物質、キニノーゲンは血漿カリクレインによりブラジキニンを産生、これが知覚神経を刺激して痛みを生じる。
一酸化窒素(NO)
また、サイトカイン(細胞から分泌され免疫応答や増殖など各細胞の機能に作用する)を含めることもある。オータコイドは局所ホルモンとも呼ばれ、比較的局所にのみ働く傾向があるが、ホルモンや神経伝達物質と厳密に区別されるものではない。アンジオテンシンやブラジキニンはホルモン的遠隔作用も持つ。またセロトニンは神経伝達物質としても働くことが知られている。機能としては炎症・アレルギー反応(ヒスタミン、エイコサノイド)や平滑筋への刺激(セロトニン、アンジオテンシン、ブラジキニン、NO)などがある。物質としてはアミン(ヒスタミン、セロトニン)、脂肪酸由来物質(エイコサノイド)、ペプチド(アンジオテンシン、ブラジキニン)、ガス状物質(NO)に分けられる。NOは細胞内におけるセカンドメッセンジャーであるとともに、隣接する細胞にも容易に拡散してオータコイドとして働く。ヒスタミンやセロトニンなどは細胞内に貯蔵されていて刺激に応じて細胞外に放出される(神経伝達物質と同様)が、その他のものは刺激に応じて合成される。
2. 気管支喘息治療薬(テオフィリン5/23、β2作用薬サルブタモール、抗コリン薬、副腎皮質ステロイド、オザクレルp121、プランルカスト6/6)5/23 p224 p121 6/6
•β2刺激薬(吸入、経口)
•副作用として頻脈、動悸、不整脈(サルブタモール)気管支拡張薬
•キサンチン誘導体(カフェインに入っている)
•テオフィリン平滑筋弛緩 ケミカルメディエーター遊離抑制
•抗コリン薬
•オザクレル(ドメナン):トロンボキサン合成酵素阻害•内服
•プランルカスト:ロイトコリエン拮抗薬
3. 胃散分泌抑制薬(ヒスタミンH2受容体遮断薬シメチジンとファモチジン、プロトンポンプ阻害薬オメプラゾール、抗コリン薬)、ヘリコバクターピロリーの除菌7/4 6/13 p231
胃潰瘍 胃酸分泌抑制薬
•H2ブロッカー(ファモチジン、シメチジン)ヒスタミン受容体拮抗薬p230
•プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール)
•抗コリン
•Hピロリ菌
{•アモキシリン(ペニシリン系細胞壁の合成阻害)p231
{•クラリスロマイシン(マクロライド系タンパク合成阻害)p231
※胃潰瘍が多い人はヘリコバクターピロリ菌に感染している場合が多い。ナトリウム摂取が多い。
4. 糖尿病(インスリン、SU剤、ビグアナイド系、グルコシダーゼ阻害薬)DPP4阻害薬p245図 6/13
糖尿病の人:血中の糖分、のどの乾き、多尿、多飲
Ⅰ型(若年型):インスリン分泌出来ない。食前自己注射
Ⅱ型(生活習慣病型)インスリン分泌促進薬
インスリン分泌薬
•SU薬スルホルウレア
•インクレチン関連薬
{•DPP4阻害薬ーGLP-1分解酵素
{•GLP1作動薬
インスリン抵抗性改善薬
•チアゾリジン誘導体:脂肪筋肉に糖を取り込み利用
•ビグアナイド系薬:肝臓での糖新生を抑制 メトホルン
糖吸収阻害薬
•α-グルコシダーゼ阻害薬:砂糖(ショ糖)2糖類→(α-グルコシダーゼ)→単糖→吸収
糖尿病の合併症
•糖尿病網膜症
•糖尿病腎症
•糖尿病末梢神経障害(感覚が分からない→壊死)
血糖値125mg/dl/100ml
HbAlc 6.5%:1-2ヶ月前の状態を反映
5. 麻酔の深度6/20
全身麻酔薬p163
•吸入麻酔(Naチャネルをブロック)
•静脈内麻酔(GABA)
深度第1期:無痛期
深度第2期:興奮期(発揚期)*アルコールもこの状態
深度第3期:手術期(筋弛緩)
深度第4期:延髄(呼吸中枢)
6. 麻酔薬について 吸入麻酔(ハロタンp161、亜酸化窒素)、静脈内麻酔(チオペンタール、ミタゾラム)吸入麻酔薬(深度コントロールしやすい!)
•イソフルラン
•亜酸化窒素(笑気):歯医者で使う
•ハロタン:獣医で使う
麻酔前投与薬
•抗コリン薬(アトロピン、スコポラミン)唾液、気管支粘膜の分泌を抑制
静脈内麻酔
•チオペンタール(バルビツール酸誘導体)
•ミタゾラム(ベンゾジアゼピン誘導体)p165
7. 睡眠の生理(ノンレム睡眠、レム睡眠:夢)90分のサイクル4-5回p163
催眠薬
トリアゾラム:超短時間 T1/2によって臨床応用異なる。長いとてんかん薬になる。
•睡眠作用
•抗けいれん
•筋弛緩
•抗不安
副作用:依存性
p169 6/27
抑制性神経伝達物質
γ-アミノ酪酸(GABA)
{ベンゾジアゼピン
{GABA
{バルビツール酸
8. 催眠薬、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系、バルビツレート系)とその作用機序
9. 抗てんかん薬(フェニトイン、フェノバルビタール、バルプロ酸ナトリウム)6/27
•フェニトイン:Naチャネル阻害薬
•フェノバルビタール:GABA系(依存性)
•クロナゼパム:ベンゾジアゼピン(依存性)
•バルプロ酸ナトリウム(GABAをためる):催奇形性※妊婦には禁忌 Naチャネルの阻害
10. 抗精神病薬:統合失調症(クロルプロマジン、ハロペリドール)6/27
大脳におけるドパミンの過剰:ドパミン説
①抗精神病薬の作用部位がD2受容体
{クロルプロマジン:D2受容体拮抗薬 副作用:パーキンソン症候群
{ハロペリドール: D2受容体拮抗薬 副作用:パーキンソン症候群
②死後脳でD2受容体増えていた
③統合失調症の様な精神症状を引き起こす覚醒剤はドパミン分泌促進する
副作用:パーキンソン病様症状
11. 抗うつ薬(イミプラミン、SSRI、SNRI)説 6/27
うつ病…モノアミン神経の活性低下
モノアミン仮説
①三環系うつ薬はノルアドレナリン、セロトニン(モノアミン)等のシナプス前への再取り込み阻害作用がある
•イミプラミン
•フルボキサミン(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)
SNRI:Serotonin Noradrenarin REuptake Inhabitor
②レセルピンはうつ病を引き起こす。レセルピンはモノアミンを枯渇させる。
12. パーキンソン病治療薬(レボドパ、抗コリン薬、アマンタジン)ドパミンの作動薬(プロモクリプチン)6/27
パーキンソン病(黒質•線条体のドパミン神経の脱落)
4大徴候
①無動症②筋固縮③姿勢反射障害④振戦(安静時におき、にぎると止まる)
•L-ドーパ(レボドパ):ドパミンの前駆体 年寄りに使う
•ドパミン作用薬:プロモクリプチン 若い人に使う
•ドパミン放出刺激薬:アマンタジン
•抗コリン
13. 鎮痛薬{非ステロイド性抗炎症薬(インドメタシン、アスピリン)、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)、麻薬性鎮痛薬(モルヒネ、コデイン、ペチジン、フェンタニール)、非麻薬性合成鎮痛薬(ペンタゾシン)、拮抗薬(ナロキソン)}6/27
鎮痛薬
①NSAIDs:non steroidal anti-inflammatory drugs非ステロイド性抗炎症薬(COX2シクロオキシゲナーゼの阻害剤)インドメタシン、アスピリン
副作用:胃潰瘍
リウマチの人はずっと飲む。NSAIDs+胃薬。空腹時に飲まない。
②解熱剤鎮痛薬:アセトアミノフェン 中枢性の痛み経路を抑制
③麻薬性鎮痛薬:モルヒネp181(opiumラテン)ケシ、アヘン1973年受容体みつかる。3H-モルヒネトリチウム モルヒネ様物質→1975年エンケファリンμδκ
副作用:便秘
癌性疼痛p105
①NSAIDs
②NSAIDs+コデイン(弱オピオイド)→鎮咳薬
③NSAIDs+強オピオイド
経口 徐放性製剤 座薬
合成麻薬:ペチジン、フェニタール モルヒネより80%強い!
非麻薬:ペンタジン
14. 抗アレルギー薬(H1拮抗薬:ジフェンヒドラミン クロモグソク酸)p120,121,226
H1拮抗薬•ジフェンヒドラミン(レスタミン•ベナなど):抗ヒスタミン効果は中等度であるが、眠気をもよおす作用が強い。口渇•頭痛などがあらわれることもある。蕁麻疹•皮膚炎•急性鼻炎などに伴うかゆみに対して用いられる。新生児では、けいれんをおこすこともある
クロモグリク酸(インタール)
•肥満細胞からのケミカルメディエーターの遊離を抑制
•H1受容体遮断作用はなし
•吸入•点眼•点鼻で使用
•内服では徐々に増量
15. 炎症の五徴候
発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害