電流刺激療法Ⅱ

  電流刺激療法Ⅱ

(筋の電気刺激に対する反応)
電気刺激による筋収縮は通常の筋の随意運動とほぼ同様の効果を持っている。
悉無律=全か無かの法則
刺激によって筋や神経線維が脱分極されると、刺激の強さを強めても反応の強さは常に同じである。興奮している時を全、静止している時を無といい段階的な応答を指すものではない。単一神経線維や単一筋線維にはこのような興奮様式があり、常にon-offの応答であることが特徴である。

(パラメーター)
パラメーターの変化=組織に流れる電流量の変化

1. 交流(最近の主流)と直流
筋の直流刺激:電流が流れるときと切れるときのみ筋収縮が出現。通常運動神経は強さが一定の直流電流には反応を示さない。
※科学的作用ー長時間刺激=科学的作用も強くでる

2. 組織の電気的インピーダンス
電気的抵抗:骨と脂肪はインピーダンスが高い、神経と筋は低い
※太めの人には強めに電流を流す。

3. 電流密度(容積あたりの電流量)
※一定以上の強さでないと筋や神経は興奮しない
※電極と皮膚が接触した部分では電流密度が最も高い(電流が深部に透過するのを遮るはたらき)
※大量の脂肪が分布する場合、電流密度が達し得ず興奮を引き起こさないこともある
※電極間が狭いー浅層部、電極間が広いー深層部まで達する。
※電極の大きさ:小さい方の電極の電流密度が高くなる、大きい方の電極では電流の分布が広がり電流密度は低くなる、大きい電極は治療したい部位から遠くに置き(不感電極)小さい電極はあ神経や筋などの刺激したい部位に置く。

4. 周波数
※筋は様々な時間的タイミングの連続する刺激によって収縮する。最初の刺激と次の刺激の時間が短い時、最初の刺激による興奮と次の刺激による興奮が重奏して筋の収縮が大きくなる(加重)
※強縮の程度は電流の周波数によって生ずる物であって、電流の強さに関係しない。
※電気刺激強縮では刺激される神経筋単位が一律に興奮し筋疲労を起こしやすい、随意的収縮では神経筋単位の発射程度が筋の動きによって様々に変化するため筋疲労を起こしにくい。
※電気刺激強縮が筋の同時収縮を強く起こすので筋力強化、筋活動の再教育、筋萎縮の改善に有効な方法となる⇒30-40Hzの完全強縮刺激が有効、持続的な筋収縮や反復する筋収縮を行う時は筋疲労が程度でその回復が早く起こり、軽度の強縮刺激が適用される15-20Hz

5. 刺激強度
深部の筋線維を興奮させるには、ある程度の強い刺激が必要になる

6. 持続時間(パルスの幅)
持続時間を長くすることによって、深層部と閾値の高い線維を興奮させることができる

7. 極性
交流:周囲的に連続的に変化する
※電子レベルが高い方=陰極(マイナス)低い方=陽極(プラス)
陰極側に+イオン、陽極側にーイオンが集まる

直流:極性は3つの性質がある。
①化学的効果
②極興奮
③電流方向

8. モーターポイント
筋肉の起始、停止付近に流れる。痛いとこの周りなど
※その筋で電流がよく流れるポイント、多くの筋線維を興奮させ、最も強い筋収縮を起こすことができる。

(筋収縮)
ー筋運動の再教育:
手術や外傷後の筋肉の不使用による筋力の減弱と求心性神経活動の低下を筋収縮によって改善する。

ー筋肉ポンプの作動:
浮腫は血管構造の損傷と四肢の筋の活動性の低下が原因となっ出現する。四肢への電気刺激による筋収縮は静脈やリンパ管のポンプ作用が働き血液や体液の心臓への還流を促進させる(浮腫治療と損傷治癒の機転を促進)

ー筋萎縮予防:
筋の電気的筋収縮は随意的筋収縮と同じような効果を引き出すことが可能

ー筋力強化 :
(ロシアン電流を使う)
電気的な筋収縮を強力に利用

ー関節可動域の改善:
(関節拘縮の人など)
関節を構成する筋が一定時間にわたって収縮することで、関節自体や筋組織に修飾作用や伸張効果を及ぼす。

(感覚神経の電気刺激とその臨床的応用)
ゲートコントロール
偏重抑制理論:下行性抑制
内因性オピエート:

(電極の位置)
経皮的通電療法(TENS)を用いる。7項目
一つの方法に固執せず、各々の患者に最も適した配置法を考慮しなければならない。
治療が効果を発揮するか否かは、電極の配置いかんに関わってくる。

(低電圧持続直流電流の臨床的応用)
血管拡張作用、陽極側での還元効果

損傷治癒の促進
潰瘍治療ー3日以上陰極側で損傷部位を刺激すると細菌の生育を抑える効果、その後電極を反転して陽極を損傷部位にもってくると皮膚細胞を損傷部の中心へ移動する効果を持ち、治癒期間の短縮をもたらす。

骨折治癒機転の促進
骨折、特に骨端癒合不全に有効である。しかし侵襲的な方法を用いずに骨折部分にまで電流を到達させるのは非常に困難である。Kahnの適応

イオン導入法
重金属イオンを皮下に浸透させ、皮膚の感染症や誘導発赤を引き起こすのに利用。

ロシア電流
多相性電流、高周波数、交流電流、10msec程度の休止時間を持つバースト波刺激

(干渉波電流)
TENSよりも深部に到達
相乗的変調ーConstructive Interference
相反的変調ーDestructive Interferene 

ビート干渉効果
筋収縮=20-50Hz
痛みのコントロール=50-120Hz
鎮痛=1Hz

(神経筋微小電流刺激)MENS

(バイオフィードバック)

筋電図バイオフィードバック法=筋収縮の電気的活動を利用して、特定の筋収縮や弛緩を訓練すること

1. 実際の筋活動を観察しながらトレーニングできる
2. ある筋群から特定の筋活動を分離記録しながら、目的とする筋のトレーニングを選択的に行うことが可能